交通運賃にかかわる消費税について
電車代に消費税がかかっているのをご存知ですか?
公共交通機関の運賃は、切符売り場などに消費税の表示がされていないことも多いため、非課税または税外だと思っていたり、そもそも考えたこともないという方も多いかもしれません。
消費税の課税対象となるのは、「国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等及び外国貨物の輸入」です。
消費税法上の「資産の譲渡等」とは、事業として有償で行われる商品や製品などの販
売、資産の貸付け及びサービスの提供をいいます。
そして運賃は「事業者」が「人又は物品の運送」を行ったことへの対価なので条件を満
たしていることになり消費税の対象となります。
平成26年4月1日、消費税が8パーセントになったことを受けJR東日本ではIC運賃が導
入され、消費税で生じた1円単位の端数を処理しない運賃体系となりました。 また、
「きっぷ」の運賃もこれまで「四捨五入」していたものを「切り上げ」するようになり
ました。
(東京の電車特定区間以外の区間では、従来どおり「四捨五入」を行っています。)
たとえば、ICカードで194円の電車代を支払った場合、税込み194円、もしくは税抜き
180円(消費税14円)と処理します。きっぷの場合は実際に支払う運賃は200円です
が、端数を切り上げている為内訳はICカードと同じになります。
補足ですが、なぜきっぷ10円単位のままなのでしょうか?
自動券売機で1円や5円硬貨を扱うと、硬貨の投入枚数の増加やおつりの種類・枚数の
増加によって、発売1回あたりの処理時間が長くなり、サービス低下につながる可能性
があるためとされています。
国内線航空券について
では航空券についてはどうでしょうか。
国内だけを移動する場合においては、電車の時と条件は同様の為、航空券代金にも消費
税はかかってきます。
国際線航空券について
では「国内⇒国外」または「海外⇒国内」移動の際の航空券についてはどうでしょうか。
輸出免税等の範囲の規定に「国内及び国外にわたって行われる旅客又は貨物の輸送」(国際輸送の一環として行われる国内輸送区間における輸送を含む。)」とあるため、
国際線の場合は航空券代金については免税取引となります。
海外渡航のための国内乗継便の航空券代金
海外へ行くために最寄空港から羽田や成田までの国内線を利用することが考えられま
すが、この場合の国内線の代金には消費税がかかるのでしょうか。
国内線なので普通に考えると消費税の課税対象なのですが、
この場合の国内線代金部分も免税取引として消費税の課税対象とはなりません。
それはなぜでしょうか?
実は下記のような取り決めがあるのです。
『法第7条第1項第3号《国際輸送等に対する輸出免税》に規定する国内及び国内以外の地域にわたって行われる旅客又は貨物の輸送は、国内から国外への旅客若しくは貨物の輸送又は国外から国内への旅客若しくは貨物の輸送(以下「国際輸送」という。)をいうのであるが、国際輸送として行う旅客輸送の一部に国内における輸送(以下「国内輸送」という。)が含まれている場合であっても、次の全ての要件を満たす場合の国内輸送は、国際輸送に該当するものとして取り扱う。(平23課消1-35により改正)』
(1) 当該国際輸送に係る契約において国際輸送の一環としてのものであることが明らかにされていること。
(2) 国内間の移動のための輸送と国内と国外との間の移動のための国内乗継地又は寄港地における致着から出発までの時間が定期路線時刻表上で24時間以内である場合の国内輸送であること。
「国内⇒(24時間以内)⇒国内⇒国外」
つまりこのような場合の航空券は全工程において国際輸送に該当するとみなされるため、免税扱いとなります。
燃油サーチャージ について
燃油サーチャージとは、航空機の燃料に使われる原油の価格が急激に上がったため、航
空会社が燃料代をまかないきれなくなり、その一部を乗客負担で徴収する制度です。
では燃油サーチャージに消費税はかかってくるのでしょうか?
燃油サーチャージは運賃の一部と考えられるので、航空券と同じく免税扱いとなります。
※国内線については「燃料コストの上昇分は運賃内で回収されている」ため設定自体が
ありません。
払戻・取消手数料にも消費税はかかるのでしょうか?
払戻手数料については解約手続き等の事務を行う役務の提供の対価なので課税の対象と
なります。
しかし取消手数料については相手方が本来得ることができたであろう利益がなくなったことの補てん金なので、資産等の譲渡等の対価に該当せず、不課税取引となります。
予約変更ができない運賃に対しては「取り消し日にかかわらず運賃の約50%相当額」等
の取り決めが航空会社ごとにあります。